サンコウチョウ
サンコウチョウ(学名:Terpsiphone atrocaudata)は、日本の夏鳥として知られる美しい鳥で、特に長い尾羽と鮮やかな体色が特徴です。巣作りからヒナの巣立ちまでの過程は、彼らの生態の中でもとても興味深いものです。
1. 巣作り
サンコウチョウの繁殖期は5月から7月にかけてです。この時期になると、つがいは巣を作る場所を選びます。巣は主に、渓流沿いの木の枝や樹のまたなどに作られます。巣の形状は小さなカップ型で、材料としては木の皮や苔、蜘蛛の糸などが使われ、非常に巧妙に作られています。蜘蛛の糸は巣をしっかり固定するために重要な役割を果たします。
2. 産卵と抱卵
メスは1度に3~5個の卵を産みます。卵は淡い色をしており、茶色の斑点があります。卵を温めるのは主にメスですが、オスも一部手伝います。抱卵期間は約12~14日間です。オスとメスは交代で巣を守りながら、外敵から卵を守ります。
3. ヒナの孵化
卵が孵化すると、親鳥は幼虫や昆虫を捕ってきてヒナに与えます。ヒナは最初は目が開いておらず、体もほぼ無毛ですが、親鳥の献身的な給餌によって急速に成長します。この間、親鳥は頻繁に餌を与え、ヒナたちを外敵から守ります。
4. ヒナの成長
ヒナは約10~12日間で羽が生え始め、徐々に巣の外の世界に興味を示すようになります。この時期、親鳥は一日に何度も餌を運び、ヒナの成長を助けます。羽毛が生え揃うと、ヒナたちは巣の縁に立ち、翼を動かす練習を始めます。
5. 巣立ち
ヒナは孵化してから約2~3週間後に巣立ちます。巣立ちの際にはまだ飛行が不完全なため、親鳥は引き続き近くで見守りながら、ヒナに飛び方や餌の取り方を教えます。巣立った後も、しばらくの間は親鳥から餌をもらい続けますが、次第に自立していきます。
6. 独り立ち
ヒナが完全に飛べるようになると、親鳥から独立して自分で餌を探すようになります。その後、親鳥も次の繁殖の準備に入ります。