ヒレンジャク(緋連雀)

ヒレンジャク(緋連雀)とキレンジャク(黄連雀)は、どちらもレンジャク科に属する中型の渡り鳥で、日本には冬鳥として飛来します。両者は見た目が非常に似ており、よく比較されますが、いくつかの特徴的な違いがあります。ここでは、両者の共通点と違いを含めた詳細な説明をします。
ヒレンジャク(Bombycilla garrulus)

大きさ: 約18~20センチメートル
特徴:
名前の「緋(ひ)」が示すように、尾羽の先端が赤色をしています。
羽の一部には、赤い蝋(ろう)状の斑点があり、これが「ワックスウィング(waxwing)」という英名の由来です。
全体的に灰褐色の羽を持ち、黒いマスクのような顔の模様や、冠羽(かんう)が特徴です。
分布:
シベリアや北欧、アジア北部で繁殖し、冬になると日本や中国などに飛来します。日本では、本州を中心に冬季に見られます。

キレンジャク(Bombycilla cedrorum)

大きさ: ヒレンジャクよりやや小さく、約17~19センチメートル
特徴:
名前の「黄(き)」が示すように、尾羽の先端が黄色です。
ヒレンジャクと同様に、羽に赤い蝋状の斑点がありますが、尾羽の色が異なるため、見分けやすいです。
全体の体色はヒレンジャクと似ていますが、キレンジャクの方がやや薄い色合いをしていることがあります。
分布:
キレンジャクは、シベリアやアジアの北東部を繁殖地とし、冬になるとヒレンジャク同様に日本や中国に渡ってきます。日本では、ヒレンジャクよりも数が少なく、観察される機会はやや稀です。

ヒレンジャクとキレンジャクの違い

尾羽の色:
ヒレンジャク: 尾羽の先端は赤色。
キレンジャク: 尾羽の先端は黄色。 この違いが最も顕著で、現場で両者を見分けるポイントになります。

体の大きさ:
ヒレンジャクの方がやや大きく、約18~20センチメートル。
キレンジャクは、やや小さく約17~19センチメートル。

分布の違い:
ヒレンジャクの方が数が多く、キレンジャクよりも日本で見かける機会が多いです。特に都市部の公園や果樹園などで、群れを成して現れることがあります。
キレンジャクはヒレンジャクほど多く見られないため、出会う機会が少ないとされています。

共通点

食性: ヒレンジャクとキレンジャクはどちらも果実を主食とし、冬の間はナナカマドやヤドリギの実を好んで食べます。群れで移動しながら、果実の豊富な場所を見つけては食べるため、群れで見かけることが多いです。また、果実の種子散布に重要な役割を果たしています。
鳴き声: どちらも静かで「チリチリ」「ジュリジュリ」という控えめな鳴き声を発します。

まとめ

ヒレンジャクとキレンジャクは、非常によく似た見た目を持つ渡り鳥ですが、尾羽の色や体の大きさ、出現する頻度に違いがあります。日本での観察機会はヒレンジャクの方が多く、冬の風物詩として人気のある鳥です。どちらも美しい姿をしており、果実を食べる習性から都市部でも比較的観察しやすいです。